明日からできる不登校支援|必要なのは学習支援だけじゃない

「不登校になった我が子をどう支援すべきか分からない」

「家庭だけでは不登校の我が子を支援しきれない」

不登校支援というと「進路保証」のイメージが先走り学習支援ばかりをイメージするかもしれません。当然、お子様の進路保証のために学習支援は重要ですが、そうなると負担感が非常に大きいです。不登校支援は学校側・家庭側で分担し、家庭でしかできない支援を行うことが不登校生徒への支援には必要なのです。

今回の記事では中学校教員として不登校生徒の支援に当たっていた筆者が不登校生徒に必須の支援方法をご紹介していきます。不登校のお子様の支援に迷う方は、こちらで紹介する「学校から受けられる支援」と「ご家庭で行うことのできる支援」を参考にしてみてください。

不登校生徒への支援は学校側・家庭側の両面が必要

上記で既に述べた通り、不登校生徒への支援は学校側と家庭側の両方から行うことが必要です。

教育現場でよくあるのはどちらか一方からの支援しか行われないというパターンです。しかしそれでは支援者側の負担が大きくなる一方で充実した支援を行うことができません。

学校側から行うことのできる支援としては主に以下の2点となります。

  • 学習支援
  • 進路支援

家庭側から行うことのできる支援は以下の2点となります。

  • 生活支援
  • 学習支援

次の見出しの中で詳しく「学校側の不登校生徒への支援」と「家庭側の不登校生徒への支援」を分けて見ていきましょう。

学校側から受けられる不登校支援

学校側としては「学習支援」と「進路支援」の2つを主に行うことができると述べました。

学習支援として具体的に行うことができるのは、

  • 夜間登校で勉強を教える
  • 別室登校で勉強を教えたり定期テストの追試を受けさせる
  • 学習プリントなどをご家庭まで届ける
  • ご家庭で勉強を教える

の4点です。

私も担任を持っていた不登校生徒に対しては上記4点の学習支援を行なっていました。1対1の学習支援となるため、勉強が遅れがちな不登校生徒に適した範囲の勉強を教えることができます。

進路支援として具体的に行うことができるのは、

  • 進路相談(進学・就職をするかどうか)
  • 入試問題などの解説・提供
  • テスト前の勉強

の3点です。

学期ごとの成績が受験の評価に入るという観点からテスト直前に勉強を教えたり、進路についての相談を教育者の立場でヒアリングしたりすることができます。

家庭側からできる不登校支援

家庭側からできる不登校支援としては「生活支援」と「学習支援」を挙げました。

学習支援として親御様にしていただきたいのは「不登校生徒が興味を示す教科・勉強方法を探り、提供する」の1点です。この理由としては次の見出しで詳しく解説をします。

ご家庭からは不登校となったお子様に対して生活支援をメインに行うことを推奨しています。例えば生活リズムの改善、家にこもりきりなのであれば興味を示すイベントや場所に一緒に行くといったものです。

不登校生徒が支援を受け入れる準備ができているか

ご家庭が考慮すべきなのは「学校・家庭からの支援を受け入れる準備を不登校のお子様ができているのか」という点です。

準備というと難しいかもしれませんが「勉強をしたくないのに学習支援を行う」「外に行きたくないのにどこかに連れて行く」というのは全て不登校生徒が支援を受け入れる準備ができておらず拒んでいる状態です。

特に学習支援において「不登校の生徒が拒んでいるのに無理にさせる」というシチュエーションが起こりがちです。これは周囲の「不登校生徒の進路への心配」と「不登校生徒自身の進路への心配」に大きくギャップがあるということです。

しかし無理に勉強を強いる状態は「勉強ができなければダメだ」と暗に伝えていることと同じです。これでは不登校のお子様の心は安定せず、いつまで経っても本当の意味での不登校改善はできません。

だからこそ「不登校生徒が興味を示す教科・勉強方法を探り、提供する」ということが重要なのです。これは生活支援でも同様です。

今からでもできる「おうち」不登校支援

では「何がしたいのか」という意思を伝えてくれない不登校のお子様に対して、どのように不登校支援をしていくことができるのか、です。

不登校生徒と関わる中で最も効果があったご家庭の不登校支援は「不登校であろうとなかろうか普通に接する」ことだということを教員時代の研修会における実践報告でよく言われていました。

不登校となったお子様に対して至れり尽くせりでサポートをしようとするご家庭・学校は多いです。

「不登校になる」という行為はお子様の求愛行為でもあるのです。周囲が気にかけすぎて必要以上の支援を行うことでますます不登校から抜け出すことができなくなります。「不登校とならなければ周囲が心配してくれない」と学んでしまうからです。

アドラー心理学には「目的論」という考え方があります。

アドラー心理学は目的論に立つので,「あの子は,何の ためにいじめをしたのか ?」と考える。「ストレスを発散 したい」「相手が悪い」「相手と何かかかわりを持ちたい」 などの目的が考えられる。これらの目的に善悪があるわけ ではないが,行動が間違っているため,適切な行動を教える必要がある。(引用:『アドラー心理学を活かした学校教育相談に関する考察』高賢一 金沢星稜大学 人間科学研究 第 9 巻 第 1 号 平成 27 年 9 月

これを「不登校」という行動に当てはめると「周囲が気にかけてほしいから不登校という行為に走る」と考えることができるのです。

そのため不登校であろうと不登校でなかろうと愛情を持って普通に接するということが、実は不登校を脱する上で最も効果的な不登校支援なのです。

まとめ

不登校の生徒に対して必要なのは「不登校にならなくても常に愛情を持って接するということを分かってもらうこと」です。

学習支援などは学校側に協力をしてもらいつつ、ご家庭からはお子様の心が健全な状態になるように接していきましょう。

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投稿者プロフィール

hiraku
4年間、中学校の教員として勤務。その間、不登校生徒の進路指導・学習支援を担任として行ってきました。
経験を生かし、不登校の方の将来が拓けるようなアドバイスをしたいと考えています。

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