不登校の中学生でも実践できる勉強方法とは?

不登校になったことで起きる一番の問題は、学校の授業を受けられないことです。

その結果、同じクラスの子どもたちと勉強において大きな差をつけられてしまいます。

不登校を抜け出して学校に戻ることができても、授業についていけず、そのことが心の傷となり、再び学校に行けなくなってしまうことも十分に考えられます。そのため、学校に戻る前に、勉強の遅れをある程度取り戻さなければいけません。

とはいえ、学校に行かないで勉強の遅れを取り戻す方法なんてあるのでしょうか。

そこで今回は不登校の子ども、特に不登校の中学生が学校に戻る前にできる勉強方法についてみていきます。

どんな勉強方法があるの?

 不登校の中学生に向けた勉強方法は、自主学習、学習塾、家庭教師、オンラインの大きく4つに分かれます。

 「人と会いたくない」というのであれば自主学習やオンラインがおすすめですし、人と接することはできるけど家の外には出たくない、というのであれば家庭教師がおすすめです。

 一方、経済的に余裕があるのであれば、学習塾に通わせるといった選択肢もあります。

 このように、子どもや家庭の事情で最適な勉強方法は変わってくるので、「これが不登校の中学生に最適な勉強方法だ!」と一概に決めることはできません。

 これから5つの勉強方法にどのようなものがあるのか具体的に見ていきます。自分の家庭の状況に最も似合った勉強方法はどれなのかを考える参考にしてみてください。

家にいながら自主学習で勉強する

 不登校の中学生の勉強方法で一番手軽でお金もかからないのは、家で自主学習をすることです。

 特に、暗記科目は授業を受けなくても本を通して学べます。

 中学生の勉強をサポートする参考書や問題集がたくさんあるので、自主学習に必要な本は簡単に手に入ります。

 おすすめは教科書ガイドです。学校の教科書の内容をより詳しく学ぶことができます。

 また、参考書ではなく学習漫画を使って勉強する方法もあります。

 私が子どものころは、日本史の学習漫画を読んでいて、気づいたらクラスのだれよりも日本史に詳しくなっていました。学習漫画はかなりおすすめです。

 さらに、通信教育を利用する方法も考えられます。

 自主学習をする際は、数学なら計算、英語なら英単語と、基礎の部分に力を入れて取り組んでください。

学習塾に通って勉強する

 直に先生から勉強を教えてほしいのであれば、学習塾に通う方法もあります。

 学習塾に通えば外出し、人と接することも増えます。勉強と同時に人になれる機会が得られる点は学習塾のメリットです。

 一方で、他人との人間関係自体がそもそも苦手な子どもにとっては、人と接する学習塾は大きなデメリットになってしまいます。同じ学校の生徒と遭遇してしまう危険性もあります。

 さらに、学習塾だと自分のペースで勉強することができません。どうしても周りに合わせて授業が進んでしまいます。自分のペースで勉強したい場合は、個別指導の学習塾を利用してみるとよいでしょう。

家庭教師で勉強する

 家庭教師は家に居ながら講師の指導を受けられるため、家庭教師を利用する不登校の中学生はたくさんいます。

 家庭教師であればその子どもの学力や理解度に合わせて指導を行え、わからないことがあれば気軽に質問できます。

 人とのコミュニケーションが苦手な子どもにとっては、家庭教師の先生を通じてコミュニケーションをとる練習することも可能です。

 ただ、家庭教師は1対1の関係になるため、子どもとの相性が重要です。子どもとの性格が合わなかったり、不登校に理解のない家庭教師だったりした場合、逆効果になるかもしれません。

オンラインで勉強する

 ネットが発達した現代においては、「ネットを使って勉強する」という、何十年か前では想像できなかった勉強方法があります。

 また、地方では家庭教師や学習塾の数が限られてしまいますが、オンラインなら全国どこでも利用することが可能です。

 オンライン家庭教師やオンライン英会話、ネット塾など、オンラインには勉強に関する様々なサービスがあります。

それぞれの勉強方法を比較してみると

 以上4つの勉強方法を表にまとめてみると、次のようになります。

 自分のペースで勉強できる先生がいる周りにほかの生徒もいる自宅でできる
自主学習できるいないいないできる
学習塾できないいるいる(個別指導も可)できない
家庭教師できるいるいないできる
オンラインできるいる(直接は会わない)いないできる

 4つの方法にはそれぞれ特徴があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。これらを考慮し、自分の条件に合った方法を選ぶことが大切です。

「今すぐうちの子にも勉強させよう!」と思う前に

 これまで不登校の中学生向けの勉強方法を見てきました。しかし、特に保護者の方に注意していただきたいのは、「今すぐうちの子にも勉強させよう!」と、焦って子どもに勉強を押し付けてはいけない、ということです。

 不登校の中学生の場合、一番大切なのは心のケアです。子どもの心の傷が大きく、精神状態が勉強に向かっていないにもかかわらず、焦って勉強させようとするのは逆効果になります。

 特に、「無理やり子どもに勉強させる」というのはかえって子どもにストレスをかけ、心のバランスを崩してしまいます。

 まずは、子どもが学校に通う中で傷ついてしまった心をしっかりとケアすること。勉強を始めるのは、子どもがしっかりと勉強に向き合える状態になってから考えることです。

不登校であることで勉強に遅れが生じ、子どもの将来を想うと焦りが生まれます。ですが、子どもの将来のためにも焦ることなく、今は子どもが勉強に迎える状態なのかどうか、それぞれの子どもの状態をしっかりと見ることが大切です。

まとめ

 実際に不登校の子どもと接していると、頭がよく、興味のある分野では大人顔負けの才能を発揮する子どももいます。

 一方で、学校に通っていないために基本的な知識がなく、頭の良さと知識量に隔たりを感じることも少なくありません。

 そして、子ども本人も頭のよさゆえ、自分の勉強がほかの子より遅れていることを理解し、焦りを感じています。

 だからこそ、まずは心のケアをしっかりと行い、それから、その子どもにあった勉強方法を探していきましょう。

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投稿者プロフィール

thshi
高校のスクールカウンセラーとして6年間勤務しており、いろいろな不登校のケースにかかわってきました。現場の感覚を大切にしながら解説していきます。

引きこもり系運動のすすめ:山登りプロジェクト

不登校であったり、休みがちで、なかなか出かける機会がない、きっかけやタイミングがない、という小中高生のための山登りプロジェクトです。学校という機会がないと、なかなか運動する機会がないのが実情だと思います。運動する機会を作ることで、生活習慣を整えたり、気力が生まれるきっかけとなったらと思っています。また、心の悩みは人間関係から生まれてきます。集団で山登りをしますが、黙々と登っていただいてもかまいません。自然の中に身をおくことで、これまでと違った見方が生まれたらと思っています。