元教師が答える!不登校になった時の学校とのかかわり方Q&A

「うちの子が不登校になって、親として何となく気まずい…。」

お子さんが学校に足が向かない時、つい気にしてしまいがちな「学校との関係」ですが、何も心配いりません。学校はお子さんと保護者の方の味方です。

「でも、どうやって先生と話したらいいか分からない…。」

そのような方のお力になれたらと思い、教師歴10年以上の筆者が「不登校本人や家族の学校や先生とのかかわり方」について、お話しします。

私は教員時代、不登校の子を担任した経験があります。

公立の小学校と中学校それぞれ勤務経験がありますが、中学校のクラスには毎年のように不登校の子がいました。1クラスに2人不登校の生徒がいたこともありました。

たくさんの学校に行けない子を見てきた経験を踏まえ、お伝えしていきたいと思います。

「毎日の欠席連絡は入れるべき?」

 毎日毎日、決まった時間に学校に欠席連絡をしている方も多いかと思います。

子どもの不登校が長引けば長引くほど、先生と話すことも減っていき、正直苦痛に思われている方もいるかもしれません。

実は、「毎日の欠席連絡は担任の先生と相談して、連絡をする・しないを決めることが可能」です。

「こちらが休んでいるのに、毎朝電話しなくていいですかなんて言い出しづらい…。」

と考えられるかもしれません。

しかし、担任もお家の方の気持ちに寄り添うよう努力しています。お家の方からの提案には親身になって応えてくれることでしょう。

本人だけでなく、お家の方も不登校がストレスになっていることは重々承知していますので、相談してください。

「登校できそうな時だけ連絡してもいいですか?」

これで十分です!

担任としても、朝はなかなか電話でゆっくり話しづらいものです。

電話の時間によっては、朝の打ち合わせの時に声を殺してお話しする、ということもしばしばあります。

朝連絡する時は、本人の様子は簡潔に伝えていただけると助かります。

しかし、もし何か今までと違う様子があれば、(例えば遅刻して登校すると言っている、など)朝でも詳しく教えてください。

それ以外は、夕方児童生徒を下校させてから改めて腰を据えてお電話が一番ゆっくりお話しできて、担任としても安心です。

保護者の方がとりとめのないことだと思っていても、担任としては家でどのように過ごしているのかは大切な情報です。

時間がある時にゆっくりお話しして、今後どうアプローチするかを一緒に考えましょう。

「先生の家庭訪問、来てほしくない時は断っても大丈夫?」

 先生が家庭訪問する目的は、「本人の様子の変化を知る」「お家の人の意向を知る」「学校での重要な事(連絡事項)を伝えに行く」「配布物を渡す」ことがあげられます。

それでは、「先生が来るよ。」と伝えたときのお子さんの様子はどうですか?

無言になったり、いやそうな顔、渋い顔をしていたりしたら、無理して会わなくても大丈夫です。

不登校が長期化するにつれて、先生との距離も広がっていくのが普通です。

中には先生の訪問を心待ちにしている子もいるかもしれませんが、だいたいが不登校の後ろめたさから訪問しても顔を合わせない、訪問を嫌がる、そんな態度になってきます。

「せっかく先生が来てくれるのに会えないのは悪いから。」

と無理に本人を引っ張り出さなくても大丈夫です。

実は、私はそれで辞書を投げつけられたことがあります(笑)。

お母さんがだまし討ちのようにして、私をその子の部屋に招き入れようとした結果です。

またそれでお母さんがショックを受け、恐縮されてしまいました。こちらとしても、大変申し訳なく思いました。

学校に行けていないので、学校の先生には会いたくないのは普通の気持ちです。先生に申し訳なく思う必要はありません。

特に本人がいろいろと葛藤している時は、エネルギー充電中だと考えて【本人の無理そうなこと】を見極めてほしいと思います。

先生の訪問を伝え、「会ってみる?」と聞いてみて会えそうなら会えばいいし、本人の様子を見て「また今度にしようか。」としてもかまいません。

また、もしおうちの方自身が先生の訪問に疲れてしまったり気を遣ってしまっていたりしたら、遠慮なくお断りしてください!

「本人に会えそうなら…」と期待して家庭訪問、結果本人とは会えずおうちの方に配布物を渡して学校に戻る、ということも残念ながらよくありました。

しかし、少しでも本人の様子を知るために、また、学校とのつながりを途切れさせないためにも、家庭訪問のお伺いはさせていただいています。

熱心な先生で毎日の家庭訪問、ありがたいけど疲れちゃったな…そんな時はお断りも大丈夫だということを頭に入れておいてください。

「保健室登校って、どんなもの?」

教室に直接入れない場合、別室登校を勧められる場合があります。

その別室としてまず利用されることが多いのが保健室です。別名保健室登校とも呼ばれ、学校に来ているので出席日数にカウントされることがほとんどです。

保健室には養護教諭の先生がいて、担任の先生とは少し違ったスタンスで心身の不調の相談に乗ってくれています。

雑談をしたり自習をしたりして過ごすこともあるかもしれません。場合によっては、給食を運んできてもらってそこで食べたり、定期テストの受験が許可されたりすることもあります。

お家の方としては、登校できたことに安心する反面、学校ではどう過ごしているのだろうか、大丈夫かな、と不安が入り混じることでしょう。

学校に行くことができ、保健室で数時間でも過ごせたのなら、大きな一歩だと考えて間違いないです。

そんな日は心も体もくたくたになって帰ってくるので、労ってゆっくり休養させてあげてください。きっとこれが自信につながります。

保健室登校してみようかな、と言い出したら、まず担任に連絡してください。

担任としては「学校に来てみようと考えていてえらい!頑張っている!」とうれしい気持ちになります。

次への足掛かりへとなってほしいのが本音ですが、反面、無理していないかな、と心配もしています。

担任はお家の方(もしくは本人)から保健室登校の相談や連絡を受けた後、養護教諭の先生と相談・連携を取り、お願いをしておきます。

他の先生にも「本日、〇〇さんが保健室登校するかもしれません。」と連絡をしておきます。希望があれば、そっとしておいてください、と付け加えることも可能です。だから、安心して保健室に登校してください。

本人が動いてみようと思っている時は、担任だけでなく学校全体で応援しています。ぜひお手伝いさせてください。

まとめ

 不登校と一口に言っても、さまざまな状態とさまざまな対応の仕方があります。また、先生によっても対応の仕方は違います。

ここに挙げたのはほんの一例にしかすぎません。

ただ、一番に考えてあげたいのは不登校になった本人のことです。

家庭と学校が遠慮せず連携を取り合って、その子にベストな方法を見つけ出してあげられること、これが不登校から抜け出す一番の近道になると思います。

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投稿者プロフィール

708rs
小中学校で12年間教師を勤め、自分自身も子育て真っ最中の二児の母。不登校や登校しぶり、発達障害などさまざまな支援が必要な子どもの担任経験あり。

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